南原住宅団地における焼却灰の再発見について

日々の活動

2021年7月に南原住宅団地において焼却灰が再発見されたことにより、村民、特に地権者および南原区にお住まいの皆様には、大変なご迷惑をお掛けしており、本当に申し訳ありません。

長野日報社 - Nagano Nippo Web

なぜこのようなことになってしまったのかをお知らせいたします。

概要

1989年に南箕輪村土地開発公社(以下「公社」という。)が造成した南原住宅団地において、2007年、その敷地内に一般廃棄物焼却灰が埋め立てられていたことが判明しました。

現行制度に基づくダイオキシン対策として、公社が当該土地の住宅等の取得及び家屋の解体を経て、焼却灰の除去を行い、工事は2018年6月に終了しました。

その後、土地の再造成を行い、工事は2019年9月に完了し、公社は焼却灰を全て除去したと発表し、住宅地の分譲を始めました。

しかしながら今回、2021年7月に販売した分譲地において、住宅メーカーが試掘を行ったところ、人工埋設物が確認されたため、公社で埋設物の成分検査を行った結果、ダイオキシンの濃度が4,400pg-TEQ/gと基準値の1,000pg-TEQ/gを大きく上回ることが8月下旬に判明しました。

過去資料によれば、当該埋設物は、掘削されていないエリアで出現しており、さらには焼却灰分布予想図の中に含まれていることから、焼却灰であると考えられます。

過去の経緯

搬入された理由

1987年当時、伊那中央保健衛生施設組合(現伊那中央行政組合)の伊那中央清掃センターから排出される焼却灰は、伊那市横山鳩吹の最終処分場へ埋立処分を行っていました。

伊那市西春近において、焼却灰の最終処分場を建設していましたが、完成までの間の受入れ先を探す中で、南箕輪村が用地の確保を依頼され、南原の公社所有地を焼却灰の処理場として提供しました。

なお、期間は1988年4月から1989年3月までとなっており、約1,800t搬入されました。

県の指導

1988年12月に「南原に産業廃棄物が捨てられている。」という通報が伊那保健所に入り、同日保健所が現地を調査しました。

保健所、公社、清掃センター、村による話し合いが行われ、1989年1月に、埋め立て後の管理方法について、伊那中央保健衛生施設組合から保健所に報告し、了承されました。

なお、日本においてダイオキシン類対策特別措置法が制定されたのは1999年であり、当時は違法という認識はありませんでした。

焼却灰の発見

約20年後の2007年2月に、南箕輪村下水道事業(村建設水道課)が実施した公共下水道工事において、道路を掘削中に地表面より1メートル~3メートル前後の深さで焼却灰が出現し、焼却灰の存在が明らかになりました。

焼却灰の除去

村は、上伊那地方事務所環境課の指導に基づき、廃棄物処理法に基づく廃棄物として、当該土地の住宅等の取得及び家屋の解体を経て、すべてを焼却灰として除去することとしました。

ダイオキシン対策のマニュアルに基づき実施したボーリング調査の結果により、焼却灰が分布している区域を確定しました。

ボーリング調査の結果では、焼却灰は、浅いところで住宅地の地表面から約1メートル、深いところでは約12メートルの深さに、約20センチメートルから約3メートルの厚さで埋まっていることが示されました。

ダイオキシン濃度の分析結果では、濃度が3,700~17,000pg-TEQ/g(基準は1,000pg-TEQ/g以下)であることが示されました。

除去費用

焼却灰の除去に掛かった総額費用は約18億3千万円となっています。

その内、単純に焼却灰の処分に掛かった費用は約5億1千万円であり、伊那中央行政組合が約4億7千万円を負担しています。

なぜ焼却灰を完全に除去できなかったのか

18億円もの費用をかけて、なぜ焼却灰を完全に除去できなかったのでしょうか。

焼却灰有無の確認はボーリング調査で行いました。

調査におけるボーリング位置の選定については、産廃特措法の基本方針、施行ガイドラインおよび土壌汚染対策法の考え方を参考に、30mの格子に区切って、格子の中で1か所配置することを基本としました。

さらには、焼却灰が不規則に埋設されていることが事前に判明していたことから、取り残しを防ぐためさらに細分化した10m格子を基本とし、ボーリング調査を行いました。

今回焼却灰が出現した場所は、ボーリング調査の結果では焼却灰が無いとされた10m×10mの格子の中でありました。

ゆえに、完全に除去するにはさらに細分化したボーリング調査の実施が必要であったと考えられます。

責任の所在

焼却灰の有無の確認にあたる手続きは、法律やガイドラインに基づいて適切に行われていました。

しかしながら、焼却灰予想分布図では、焼却灰が有るとされていた場所であり、さらに細分化したボーリング調査を本来は行うべきであったとも考えられます。

結果、焼却灰が有る土地を無いとして分譲地の販売行為を行ったこと、また根本的に分譲地として当該土地を再利用したことについて、南箕輪村長の政治的結果責任は免れ得ないと考えております。

意思決定、管理監督責任、結果責任

10m×10m格子単位で行われたボーリング調査については、ガイドラインや法に基づいており、適正に行われていたと判断できます。

しかしながら、焼却灰予想分布図では焼却灰が有るとされていた場所ですので、無いとする判断については、最大限慎重に行う必要があったと思われます。また、再度分譲地とすることについても慎重な判断が必要でした。

焼却灰が埋まっていないとした意思決定

2011年11月に南原コミュニティーセンターで行われた地元説明会の音声データ等では、下記のような発言が村側からあったことから、意思決定はこれより前に行われていたと考えられます。

今までは灰の想定される範囲はひょうたん形で東と西がつながっていたのを示していたが、実は2箇所に分けられていた。当時の保健所、今の環境課の指導というか、相談をしながら工事の途中でシートを張って、そこへ灰をいれるように切り替えたと推測される。西側の灰はそのまま埋め立ててしまう、東側4ブロックの部分のボーリングではシートの切れ端も出てきたため、シートを張ってそこへ入れた状況と判断する。東側と西側がつながっている想定だったが、途中の部分はないと判断できるのでご承知を願いたい。

再度分譲地とした意思決定

2017年5月の地元説明会においては、再造成して売る意思決定が済んでいたようです。

<2014年6月の説明会>

住民:焼却灰の処理が終わり土の入れ替え後は、また宅地とするのか。
村の回答:住民の皆さんの意見をお聞きしながら決める。

<2017年5月の説明会>

できるとこは再造成をして一部住宅地としてご利用いただく様な形にもしていきたいと思ってます。公社の方でまた再造成をして、また売っていきたいという風に考えております。

管理監督責任と結果責任

南箕輪村長に結果責任があるのは政治家として当然でありますので、2021年の9月議会にて、給与の減額に関する条例を提出してまいります。

管理監督責任については、私が村長に就任したのが2021年4月、議員になったのも2019年4月ですので、意思決定が行われた日付をみると、発生する余地がありません。

そこで、給与の減額については、-10%×3ヶ月とさせていただきました。

今後の対応

9月4日に記者会見を実施し、事実の公表と謝罪を行いました。

また、記者会見を行う前に、周辺地域の住民の皆さまに個別訪問させていただき、状況の説明を行いました。

9月中旬より、ボーリング調査を行い焼却灰の所在を確認します。

敷地内に焼却灰が確認された地権者、焼却灰除去にあたり移転が必要な地権者、焼却灰がないとして分譲地を購入した地権者への補償等について、9月中に第1回の話し合いを設定し、全てにおいて真摯に対応してまいります

地元地区への説明会についても、遅くとも10月上旬までに開催できるように調整してまいります。

声明

公社が宅地分譲した南原住宅団地の土地から令和3年7月に再び、ダイオキシンを含む焼却灰が発見されたことについては、焼却灰を完全に除去したと令和元年9月に当時の村長が公表したにも関わらず、分譲地に焼却灰が存在していること、また、今回焼却灰を完全に除去したという村の公表を信頼して、土地を取得された地権者の皆様方に対しては、せっかくのマイホームの土中に焼却灰が存在している可能性があり、その結果、日常生活の基礎をおびやかす事態となったことについて、南箕輪村の村政の最高責任者として誠に申し訳なく、深くお詫びいたします。
村としては、法的に認められるすべての責任を果たす決意であり、今後は、地権者の意見と要望を丁寧に確認し、それに沿った対応を果たし、一刻も早く地権者の平穏な日常生活を取り戻せるよう全力をもって対処いたします。

南原住宅団地焼却灰の再発言についての記者会見

2021年9月14日 文責 藤城

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